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『Nicoleのマルケお散歩Diary』Vol.2 オーガニックワイナリーの葡萄収穫とドルチェ

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Ciao a tutti!

ご無沙汰しております、イタリアマルケ州からニコルです。
皆様いかがお過ごしでしょうか?

イタリアは9月に入ってから朝、夕がだいぶ涼しくなり、いつ間にか秋が訪れていましたよ。

 

 

さて、イタリアは秋がベストシーズンだとご存知でしたか?

「イタリアに行くなら、いつがオススメ?」と良く聞かれるのですが、私は9月からクリスマス前にかけてと必ず答えます。

9月に入ると気温も過ごしやすくなりますし、観光客も減ります。コロナ禍とはいえ今年も夏のバケーションをマルケで過ごすヨーロッパ観光客は(特にイギリス、オランダ、ドイツ)、とても多かったです。

また9月中ですとビーチもまだ楽しめるものの、ハイシーズンが終わるので、宿泊施設の値段も下がるという嬉しいメリットも。

 

 

そして何と言っても、イタリアは秋が一番美味しい季節です。まさに「食欲の秋」が堪能できます!旬にこだわるイタリア人、この時期にしか食べれない贅沢品がマーケット、そしてレストランのメニューに登場します。

例えばトリュフやポルチーニ茸。実はマルケ、イタリア一のトリュフの生産量を誇るってご存知でしたか?その中でも最高級とされる白トリュフは、通常10月から市場に出回ります。

また栗は、イタリアでも秋を代表する味覚です。ハイキングがてら栗狩りをし、家でロースト。気温が下がれば、暖炉をつけて焼き栗をする家庭も多いです。そして9月からは秋の味覚にちなんだお祭りが毎週末のように開催されます。イタリアで収穫祭を体験したい方、ぜひ土日を挟んだスケジュールでいらして下さいね。

 

 

老舗オーガニックワイナリーでの葡萄の収穫

そして、もう一つイタリアの秋に欠かせないのが葡萄です!イタリア語でVendemmia(ヴェンデミア)と呼ばれる、ワイン用の葡萄の収穫が始まります。この時期になると、「今年の葡萄の出来はどうだったか」と朝のバールでの会話は収穫の話でもちきりとなります。

 

 

年度によりますが、マルケでは通常9月の頭から白ぶどうの収穫が始まり、続いて9月半ばから10月にかけ、黒ぶどうが収穫されます。

収穫はまだ日がのぼらないうちから始まります。葡萄は冷えていた方が味が凝縮されており、酸化も防げるため、収穫が行われるのは基本朝なのですよ。また収穫がスタートすると、多くのワイナリーは土日関係なく働きます。ワイナリーにとって一番大切な時期である、ヴェンデミア。

今回はマルケ州フェルモ県のオーガニックワイナリーにお邪魔して、特別に収穫の様子を取材されてもらいました。(小規模なワイナリーですと多忙な収穫時には観光客を受け入れない場合もあるので、見学をしたい方はご注意を!)

 

 

今回お邪魔したCantina Ortenzi(カンティーナ・オルテンツィ)は130年以上もの歴史を誇る老舗ワイナリーです。現在オーナーのクリスティアンはなんと5代目!営業を開始して以来、家族経営です。クリスティアンが中心となってワイナリーを営んでいますが、ヴェンデミアの時期になると一家総出。若い息子さん達も収穫を手伝い、リタイアされたお父さんも気になってよく顔を出すそう。自由奔放でゴーイングマイウェイなイタリア人ですが、この時期になるとみんなが団結。ワイナリーにとってその年の業績を左右する一番大切な時期であるとともに、イタリアの秋を象徴する一大イベントです。

マルケのような田舎では、今でも多くの一般家庭が自宅用のワインを作っています。クリスティアンは幼い頃から収穫を手伝い、9月になると親戚、近所の友人らも手伝いに集まるので、食卓はお祭りのように賑やかだったのをよく覚えていると仰っていました。一生懸命働いた後、みんなで分かち合う食事って格別ですよね。そして食事の時には必ずワイン。彼が子供の頃、おばあちゃんが家庭を仕切っていた時、食事の際の飲み物はワインしかなかったのですって。「水が欲しいなら外の井戸まで行ってきな」とおばあちゃんによく言われていたそう。

 

130年続く老舗ワイナリー5代目オーナーのクリスティアン

 

そんなヴェンデミア、収穫からイタリア語でモスト(英語でMust)と呼ばれるぶどうの果汁が採れるまでの一連の行程を生で見るのは私も今回が初めてでした。ワインを勉強している身として、一度は見てみたいと思っていたとても貴重な体験となりました。大きなワイナリーですと、機械を使って収穫をしますが、熟れ切れていないぶどう、あるいは傷んでしまったものも同時に収穫してしまうデメリットがあるので、クリスティアンは断固として手摘みにこだわります。早朝から畑に出て、手作業でぶどうを一つ、一つ摘みます。

 

 

その後、トラックに積まれたぶどうはすぐさまワイナリー内になる除梗機へ運ばれ、果梗が取り除かれます。私が取材した日はペコリーノと呼ばれる白ぶどうの収穫だったので、果皮、種も取り除かれ、(赤ワイン作りの場合は果皮、種を残します)すぐに圧搾されます。すると綺麗な黄緑色の果汁が絞り出され、ここからワイン作りがスタートします。

 

 

撮影を行ったのは、9月初旬で黒ぶどうの収穫にはまだ早かったのですが、この日は去年植えて、今年初めて収穫するメルロー(黒ぶどうの一種)の糖分チェックを行っておりました。数房採り、バケツに入れて自らの手でぶどうを絞るクリスティアン。終始ニコニコしている彼なのですが、この時は一段と嬉しそうに糖度計の写メをエノロゴ(醸造家)に送っていました。9月半ばには収穫できるそうです。「マルケのフェルモでこんな面白いメルローが出来るんだ」とみんなを驚かせたいと語っていました。樽での熟成期間があるので彼のメルローが飲めるのは早くても2024年。辛抱強く待つ、ワインのこのようなロマンチックなところに私はとても惹かれます。このメルロー、もちろん予約してきましたよ。

 

 

老舗ワイナリーでありながら、このように新しい事に挑戦する精神に私は感動しました。歴史あるワイナリーとなると、「今まで通りにやって行けば良い」と変化を嫌う頑固な生産者が多いのですが、クリスティアンは進取の気性に富み、常に将来に目を向けたワイン造りに取り組んでいます。EUのオーガニック認定(グリーン・リーフ)は10年以上前に取得。使っている肥料は除梗後に残った、果梗を活用しています。ワインを楽しむ私達だけでなく、環境にも優しいワイン作りにこだわっています。

 

 

そしてカンティーナ・オルテンツィがワイナリーとして押しているのはやはり土着品種です。定番のペコリーノ、パッセリーナ、モンテプルチャーノのみならず、私も今回初めて耳にしたティントリアと呼ばれるレアな品種まで豊富に取り揃えています。

ティントリア種は、できる実が少ないだけでなく、一粒が非常に小さく、生産性が悪いことから畑からほとんど姿を消してしまっています。しかしクリスティアンは代々受け継いできたものを今でも大切に守り続けて、ティントリアの単一ワインだけでなく、ワイナリーのベストセラーである、ロッソ・ピチェーノ(マルケを代表するブレンド赤ワイン)にもティントリアをブレンドし続けています。

現在日本にはまだ未入荷のカンティーナ・オルテンツィ。ぜひ本場マルケで直接彼のワイナリーまだ味わいにいらして下さいね。

 

 

最後に食欲の秋ということで、旬のフルーツを使ったドルチェ(デザート)、そしてクリスティアンのワインとのペアリングをご紹介。